これまで私は様々な研修やワークショップを通して、どの参加者にどのように働きかければどういう方向に向かわせる事が出来るか、あるいは、逆に参加者個人が力を発揮できない状況やその理由もある程度把握できるようになってきました。
また、この人はこういう人とペアにすると力が発揮できるとか、この人と一緒にするとこの人はダメになるとか、全体をもっていきたい方向に進めるためにはここで何をすべきか、意図的に乗り越えて欲しい壁を用意してみたり、自信を持たせるために脚光を浴びせたりする技法も身に着けました。
そういった意図的なコントロールが出来るようになると、その手法を使うことで組織内におけるモチベーションのコントロールや個々のコミュニケーション能力の活性化などを図ることが出来るようになります。
そのことは、大工職人が鉋(かんな)を使うと削った時の感覚で材木の厚みがわかったり、壁をコンコンと叩くことでその壁の材質や厚みが分かるようになる熟練度の感覚と似ています。
どこの会社でも見られることなので皆さんの会社でも見受けられると思いますが、相手とのコミュニケーションの度合いにより指示を受けたり仕事を依頼されたりした時の頼まれる側(受け手)の感情には明らかな違いが生じているのです。分かりやすく言うと、「こいつに頼まれたら嫌と言えないけど、こいつに言われると腹が立つ」といった感じです。
些細なことでいつも口論になる人たちの間にはコミュニケーションが不足しています。仲が良ければ笑って済ませられることも、そうでなければ笑えないのです。
適材適所といいますが、まさに誰をどこに配置するかということを考えるときに、このことを念頭に置いて人選してください。全体のバランスを把握し、個々の社員の性格を掴んでいる上司には、既に備わっている感覚ですね。