25年も社員研修の仕事をしていると、社長とそこで働く社員の関わり合い方を見るだけで円滑に会社が回っているかどうかが、何となく分かるようになってきます。
社長が自社の社員の可能性に大いに期待し、出来ないことが出来るようになるまでのプロセスをちゃんと見守っている会社は、自律できる社員が多く、意思の疎通が上手く取れているケースが多いと思います。
一方社員のすることに常に口を挟み、自分の思い通りに動かない社員に対し不満をぶつける社長の会社では、社員が心を閉ざし、評価される場面では努力をするが見ていないところでは手を抜くという傾向が強くなるようです。
陰口を叩き、社長や会社を批判し、認められないのは自分の努力が足らないせいではなく、ちゃんと評価しない会社が悪いなどと他の社員に愚痴をこぼします。
そうして、そういう社員の声が徐々に蔓延し、みんな同じような行動をとるようになってしまいます。
腐ったみかんの例え話を聞かれたことがあると思いますが、箱の中の腐ったみかんが周りのみかんを腐らせてしまい放っておくと箱のみかんが全て腐ってしまうという話。
大切なのはこの話の続きです。
あなたが最初にすることは腐ったみかんを取り除くことではなく、そもそも腐らないみかんを作ることなのです。
みかんが例え話の主人公なので腐らないみかんなんてある訳ないと思われてしまいますから、例え話ではなく実際の話に戻してお話しします。
愚痴をこぼし、陰口を叩き、責任転嫁する困った社員を採用したことがそもそもの失敗。
次に元々腐ってなかったその社員を腐る環境で育てたことが失敗。
ここが一番大切で、腐る環境を改善しないと、例え腐った社員を配置転換などの処置をして排除したとしてもまた次の社員が腐ってしまいます。
腐る前に腐るかも知れないという予測を怠り不適切な安全管理をしていたことも失敗。
腐り始めているのに気付かなかった上司の監督不行き届きも失敗。
社内の雰囲気が悪化する前に配置転換などの処置や具体的な対策が取れなかった危機管理についても失敗。
実際の企業においては、忙しければ忙しいほど、こういった日常の人材管理が出来ていないのが実状です。
会社とは、人が全てを作り出しています。
目に見えないものを形にするために経営方針や社訓で「我が社はこういう会社」と言える位置付けや存在意義を作っても、働く社員がそれにそぐわない社員なら顧客に評価されるよりも前に内面から崩壊していくのが想像に容易いでしょう。
結果から原因を探ることは簡単ですが、悪い結果に至った経緯を探り、誰が悪かったのかを見極めたとしても、その際に処罰しないことをお勧めします。
「あの時こうしていなかったからこうなった」したがって責任はおまえにある!という排除型の責任追及は会社の底力(地力)を弱くしてしまいます。
そうなる前に改善出来なかったことを反省し、次に同じ過ちを繰り返さないように徹底していくことだけが唯一の改善策です。
人を裁く会社は社員が戦々恐々として安心して働ける環境とは言えません。
任せたなら100%任せる。全て任せられたからこそ自分の行動に責任が持てるのです。
そういう自律型社員が強い絆で結びついた会社は驚異的なスピードで進化して行きます。
任せるというのは「丸投げ」とは違いますので、しっかりフォローするなり、進捗を管理するなりして放ったらかしにはしないで下さい。
ここまでの説明で、みかんが腐ってから騒いでも遅いことが理解して頂けたでしょうか?
腐らないみかんを作る仕組みと、みかんが腐りにくい環境こそが会社を強くしていきます。
そんな自律型社員がたくさんいる会社を作りたい時は是非ご相談下さい。
善は急げ!鉄は熱いうちに打て!と言いますが、正に、今いる社員を鍛えることは採用に掛かるお金を削減し、新しく雇い入れる社員に掛ける時間や手間を省くことが出来ます。
社員の成長を促す研修は、時間こそ掛かりますが、最もコストパフォーマンスに優れた最良の方法です。
忘れないで下さい。スタッフの力量が会社の未来を左右することを。
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