このコラムを読んで下さっている皆さんにも、大なり小なり、「願望」というものがおありだと思います。
いつか行ってみたい、あれが欲しい、あんな風になりたい、こうして欲しい、などの自分が主役の願望。
また、自分以外の第三者に対する願望で、こうなって欲しい、こうしてあげたい、結果が上手くいくように、願望というより祈りに近い場合もあります。
さて、それらの願望はいつ叶いそうですか?
第三者が頑張らないと願いが叶いそうもない場合は、あなたがいくら望んでもどうにもなりません。
例えば、あなたが抱える悩みごとで「子どもが高校受験前なのに全然勉強しないんです。主人に相談しても子どもの教育はお前に任せてあるんだから何とかしろよ!って言われるんです」というのがあるとします。あなたの望みは「もっと勉強して欲しい」「主人にもっと協力してもらいたい」という2つの願い。
自分以外の誰かが言うことを聞いてくれないという悩みは多くの方が抱える悩みのひとつですが、これをアドラー心理学では「課題の分離」という考えで対処します。
つまりあなたの問題ではないということ。どんなに悩んでも勉強するかしないかは子どもさんの問題で、自分自身の課題ではないと理解して接する必要があるということです。だから悩まずに、頑張れるよう環境を整えてあげるか、応援してあげましょう。
問題は責任転嫁育児放棄のご主人様ですが、悩みごとの解決の方法はまた今度別の機会にお話しするとして、話を願望の話に戻します。
あなた自身が望む願望なら、あなた次第で何とか出来るんじゃないですか?誰かの力を借りなければ絶対無理って願望じゃない限り。
お金と相談の願望は、誰かがお金をあなたのために気前よく出してくれない限り、今すぐと言われると、お金がないと叶えるのは無理なのですが、期限がないならコツコツ貯めれば何とかなりそうな金額なのか、絶対に無理な金額で単に希望を言ってみただけという夢の話なのか、その辺ははっきりした方が良いと思います。
私、仕事柄、お客様に対するヒアリングや、個人的にカウンセリングを行う際に、皆さんからいろんなジャンルの沢山の願望をお聞きしますが、割りと今すぐ叶う願望があります。
逆に、何で今すぐ叶えないの?って質問する場合があります。
直ぐに叶う願望や小さい願望は置いといて、ちょっと時間が掛かる願望や努力が必要な願望なら、私の得意分野なので比較的高い確率で叶えてあげられると思います。
勘違いしないで下さいね。「方法を教えてあげられる」という意味なので、「都心にマンション欲しいんです!」と言われても買ってあげられませんから。
ダイエットなら2ヶ月で10㎏は落とせます。これも方法をお教えします。やるのはあなたなので「方法を教えてもらえれば絶対に出来る!」と言う方にはお教えします。
他人から「そんなの簡単だよ」って言われてやり方を教わっても、何となく出来る気がしないアドバイスってありますよね。それはその教えた人の教え方が悪い。
アドバイスを聞いた人の腑に落とさないから「あなたには簡単でも私には無理なのよ」って気持ちになるんです。
腑に落とす方法を知っている人のアドバイスは違いますよぉ~「目から鱗」「今すぐやってみます!」って思わず言ってしまうほど、凄くやる気満々になれます。
腑に落とすっていうのは、説明を聞いて頭で理解する程度ではなく、頭で納得するのを通り越して、体験して自分で何らかの発見をして初めて理解が出来るぐらいの理解度のことを言います。
だから、説明を聞いた時には理解できても独りになった時に「どうするんだっけ?」っていうようじゃ困るんです。分からない点があったり、やったことがないから結果を想像できないというようでは、腑に落ちたとは言えません。
「こうすれば驚くほど簡単に1週間で1㎏落とせます」目標が小さいのと短期間なので、「これなら簡単だし私でも出来そう!先ず1週間やってみようかしら」って気になります。
最初の1週間で1㎏落とせても10週間で10㎏痩せられるとは限らないのですが、最初の1週間が過ぎた時点で、もし本当に1㎏体重が減っていたら、あなたはきっと自信をもって取り組めることでしょう。
この実際に経験して得られた成功体験が、本当の自信に繋がるのです。誰に勧められた訳でもなく、実際の経験に基づいて自らの力で自信を得られたこの状態こそが「腑に落ちた」という状態なのです。
同様に、「自分のものにする」という言葉は、そのスキルを習得した時に使われる言葉ですが、まさに「腑に落ちた状態=自分のものにする」と言えます。
よく言われる「わかる」と「できる」は違うというのも、納得できますよね。
願望を叶えるために一番必要なことは、どうやって(どのような手法で)夢を叶えるかということを調べることで夢が叶う訳ではなく、やってみることで夢が叶うのです。
夢の叶え方を調べるというプロセスは、無駄に時間を掛けないで最短距離で進む、あるいは、間違った方向に進んで遠回りしたり、途中で挫折したりしないためにも、多少は必要なことかも知れませんが、調べることに時間を掛けることで、自分には無理かも知れない、もう少し時期をずらした方がいいかも、やっても出来ないなら最初から挑戦しない方が良いかもしれない、などと、マイナスの感情に支配されるきっかけになることもあります。
考えないで飛び込むことで、知識はないけど経験はあるという状態になります。経験者からみれば、その無鉄砲さに驚かされることがあるんですが、怖いもの知らずが、ここ一番の勇気が必要な時に力を発揮できるのではないでしょうか?
知らないからこそ恐れずに参加できた挑戦の結果、何度か失敗したものの無事に成功し、それとは逆に、チャレンジする前に入念に下調べをしている人は、失敗するかもしれない恐怖に支配され、怖くて挑戦できないでいるということは、割りとよくある話です。
皆さん、グランドキャニオンでセスナ機に乗った経験はありますか?パイロットは操縦するのが仕事なので操縦はしますが、セスナ機がちゃんと整備されているのかどうか知らないそうです。整備士がいるのでちゃんと整備してると思うよって言われ驚きましたが、まさに想像だけの根拠のない信用だけで成り立ってます。
出発前に不安になって聞いてみたら、今までに墜落して全員が死亡した事故もあり、落ちない保証はどこにもないそうです。落ちても裁判しないという書類を書かされて、保険に入らされて出発です。
セスナ機の機体はボロボロで変な音がします。パイロットも操縦にまったく余裕がなく、ハプニングと戦ってるようです。急に高度が下がることもあり、あまりに怖すぎて心臓がバクバクしていました。セスナ機から降りる時には、頭がズキズキして乗り物酔いの症状でとても苦しかったのを憶えています。
乗りたいですか?
グランドキャニオンの中にある小さな空港に着陸して、近くの展望台から見たその景色を「私はこの景色を一生忘れられないだろうなぁ」と思うほど綺麗でした。
パイロットが搭乗している私たちを怖がらそうと話した話も、わざと高度を急に下げたりしたことも、いま振り返れば二度と味わえない素晴らしい思い出です。
ちなみに出発地はラスベガスの郊外なのですが、出発時は真っ青な雲一つない空で、帰ってきた時はそこが同じ場所だとは思えないほど、雲がオレンジ色に染まり、荒野にセスナ機がポツンと佇み、日本では絶対に見れない夕焼けの景色でした。
セスナ機で巡るグランドキャニオンツアーというこのオプショナルツアーに、落ちるかもしれないから止めておこうと参加しなかった人、行ってみたいと参加した人、その差は凄く大きいということが、経験した私にはわかります。
夢を叶える時に妨げとなる要素はたくさんあります。恐れ、先延ばし、諦め、それらの妨げに負けないようにするためには、何も考えずに一歩踏み出すという勇気が最初に必要なのかも知れません。
絶対に行く!と最初に覚悟を決めると、後から出てくる不安要素に簡単に負けない強い気持ちで、チャレンジすることが出来るのではないでしょうか。
とにかくやってみよう!文句は後から言えばいい。
夢を叶える妨げのひとつに「お金がないから無理!」というのがあります。そういう時は、今財布に入っている金額で今すぐ支払わなければいけない時を除き、もし夢を叶えるまでに時間が許されるなら期限を決めましょう。
いつまでにその夢を叶えるのか?
いつか行ってみたい、いつかやってみたいという「いつか」は、架空の世界の時間を表す表現なので、「いつか」なんて日時は永久に来ないし存在しません。思い描いた架空の世界が現実になった瞬間のことを「いつか」と呼びます。
じゃあ、そんな不確かなカウントすらできない架空の時間ではなく、現実の時間でカウントすればいいのではないか?夢が叶う日まであと何日ある?
今度また飲みに行きましょう!って言う「今度」っていつ?
お互いのスケジュールを見て双方が都合のいい日を確認して、また今度時間がある時に打ち合わせしようって言うけど、時間がある時っていつ?今決めればいいんじゃない?打ち合わせの日と飲みに行く日の2つを決めて実際に飲みに行く日までその日には他のスケジュールを入れない。
優先順位をどこにおくかですね。気軽に「ごめんなさい」って言って、スケージュールの変更が出来る関係なら、なるべく今日とか明日とか出来るだけ早い日時で約束した方がいいんです。それぐらいしないと優先順位でいろんな妨げに出くわし変更を余儀なくされるから。
高知県の人は昼間からでも酒を飲む人が多い。お酒の文化が他の県とは違う。初対面でも気に入った人には「おまん!おもろいのお!今晩飲みに行かんかえ?」と声を掛ける。実際に飲みに行けば初対面の相手でも盃を交わしてる間に仲良くなり、昔から知っているかのような親しい間柄になれます。まさに心ひとつ。
自分で築いた相手との人間関係は浅く留めておくのも、親交を深くするのも自分の心掛け次第です。
期限の設定は締め切りを設けることにより、自分自身の行動に余裕を持たせたり、逆に慌てさせたり、急かしたりと調整する役割を果たしています。
善は急げ!と言いますが願望を叶えるために期限を設定することは効果絶大です。
人材育成のトレーナーという仕事は、会社の経営者の方々とも共に会社を発展させていくパートナーとして接する機会が非常に多い仕事です。
成功している会社の経営者の方に共通している点で顕著なのが「出来るまでやめない」ということ。
一番大切なことは、やり方は無数にあるということ。失敗したらやり方を変えたり、細かい修正を加えたりしながら上手くいく方法を模索します。止めてしまったらそこで終わりです。
上手くいく方法を模索しているその姿は、正に真剣そのものですが、チャレンジすることで一歩ずつステップアップしているようにも見え、もがき苦しんでいるのに、何処か楽しそうで生き生きとしています。
ここまでの話で、願望を叶えるためのキーワードとも言えるいくつかの大切な要素についてお話ししてきました。人それぞれ叶えたい願望の中身は違うと思います。
ただ知っておいて欲しいことは、成功への道のりは意外と近いということ。
そして独りで叶えようとすると時間が掛かる願望への道のりも、みんなで叶えようとすると途中から拍車が掛かり達成までのスピードが上がるということ。
人生の時間は自分が思っている以上に早く過ぎ去っていくようです。
私はこれまでの人生の中で、たくさんの失敗をしてきました。仕事柄、私の講義を聞いて下さっている方には、失敗から学んだことをお伝えしています。
「人のふり見て我がふり直せ」という諺があるように、皆さんがチャレンジする時にその失敗も教訓として生かして頂ければ幸いです。
私も、人生の随所に散りばめられたチャレンジすべき瞬間には、楽しみながら精一杯取り組んでいきたいと思います。